経営にとってリスクとは何でしょうか? |
「リスク」という言葉を聞いて最初に思い浮かべるのは「危険」「危機」「損失」といったイメージではないでしょうか。
ある場合にはリスクは危険であり、危機であり、損失であると言えます。
しかし「危険」や「危機」という言葉だけでは表現できない概念がリスクにはあります。
リスクには「取るべきリスク」と「守るべきリスク」があります。
防御したり回避したりする「危険」や「危機」という概念がある一方で、「冒険」という概念もあるのです。
戦略的に攻めなければならないが、攻めればリスクが発生する。
その「攻めるリスク」をどうマネジメントすればよいか、ということもリスクマネジメントの分野です。
このように見ると、企業経営におけるリスクとは「事業の目的達成を阻害する要因」ということができます。
阻害要因を明確にしてあらかじめ対応することができれば事業の目的は遂行されます。
企業経営に影響を与え、経営を不確実なものにする要因とは何かを把握し、その対策を打っておくことがリスクマネジメントということができます。
リスクをゼロにすることがリスクマネジメントの目的ではありません。
リスクがゼロになったけれど事業の目的を果たすことはできない、ということではリスクをマネジメントしたことにはならないのです。
このような観点から、リスクに対する理論的なアプローチを経て実践的にどのようなマネジメント手法をとればよいのかについて、リスクマネジメントを専門とするコンサルタントとしてお役に立てれば幸いです。
企業を取り巻くリスク環境は複雑で多岐にわたっています。
事業の目的を達成するために阻害となりそうな要因をいち早く発見し、その対応について的確な方法を探す支援をさせていただきます。
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CSR(企業の社会的責任) |
「リスクマネジメントはなぜ必要か?」という問いに対する最も重要な答えは、「企業が社会的責任を負っているから」ということができます。企業は、自社の存在意義や理念・ビジョンに基づき、社会に何らかの役割を果たすべく活動しています。企業は、社会との接点のなかで果たすべき役割と期待を認識した上で、事業目的を達成しつづけます。これは、企業が社会に負っている責任ということができます。
エネルギー企業は、安全に社会にエネルギーを供給しつづけることが存在意義であり、社会的使命です。運輸企業は、乗客や荷物を安全かつタイムリーに、目的地まで運ぶことが社会的役割です。もしこれらの企業がその社会的役割を果たせない事態に陥れば、社会的責任は果たせないということになります。
企業は、もし事業目的を阻害する要因があれば、積極的にその要因を捉え、事前に対策を打つことによって、社会に対して企業活動を続ける必要があります。つまりリスクマネジメント活動が、企業の社会的責任を果たす上で重要な意味を持つということです。
さらに企業は、活動の結果、社会的に悪影響をもたらす可能性についても日常的に洗い出し、定期的に評価した上で、その影響を除去する活動を行う必要があります。
地域に対して流出する可能性のある有害物質の管理や、展開する事業拠点における人権への配慮、反社会的勢力との関係など、法令の遵守にとどまらず、社会の期待に反する従業員の行動も含めた取組みについても、企業は責任を負っています。
これらのマネジメント活動は、まさにリスクマネジメント活動そのものです。ですから、企業の社会的責任活動の中心にリスクマネジメント活動が位置づけられるのです。
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ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)
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エンタープライズ・リスクマネジメントとは、企業全体のリスクを包括的に捉え、組織全体で管理し、企業価値を最大化する手法です。CSRを推進する上では、組織ごとのリスクマネジメント活動だけでなく、全社を包括的に捉えた活動が欠かせません。一部の部門のリスクが会社全体の社会的責任に影響しないように、調査・評価・アセスメント・共有・対応・モニタリングといった一連のマネジメントサイクルを機能させる必要があります。
「全社リスクの洗い出し」「優先して対応すべきリスクの評価」「リスクマネジメントのPDCAサイクルをまわすこと」が取組みの柱となります。
弊社は、これらの取組みを効率よく効果的にサポートし、エンタープライズ・リスクマネジメントに必要なプロセスの進行を支援します。
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