ミスをしたことのない人はいません。人間にはミスやエラーがつきものです。しかし、だからと言って繰り返されるミスやエラーを放っておいてよいわけはありません。ヒューマンエラーの特性を知り、その特性に応じた対策を講じれば、ミスやエラーの出現を小さくすることが可能ですし、組織的な事故や不祥事への対策にも役立ちます。ヒューマンエラーの分類には諸説ありますが、弊社では4つの類型で分析・評価を行います。
・記憶系モデル
・注意系モデル
・認知系モデル
・集団系モデル
記憶系モデルは、「やり忘れ」「やりっぱなし」といった人間の「忘れ」が原因で起きるヒューマンエラーです。
注意系モデルは、例えば「熱いものを口に入れてやけどをする」といったもので、不注意の状態で何かをしようとして間違えるといったヒューマンエラーです。
認知系モデルは、いわゆる「思い込み」で、ある事象を間違って認識したまま判断してミスをするといったヒューマンエラーです。
さらに集団系モデルは、ダブルチェックが機能しないなど複数のスタッフで何かを実施しようとするときに依存的手抜きが起きるなどのエラーのことを言います。
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ヒューマンエラーの調査・分析を行うための着眼点 |
ヒューマンエラーの調査・分析は次の失敗を生み出さないようにするためには有効ですが、調査方法を間違えるとかえってリスクが高くなることがあります。
事故は、発生後に分析すれば要因や原因が掴めるので「あの時こうすればよかったはずだ」とか「なぜ、こんな簡単なことを実施しなかったのか」などの防御策について語ることができます。
しかし、事故が起きる前の状態でその防御策を講じることができる状態にあったかと言えば、それができないから事故は発生したということであるはずです。
そうだとすれば、「すべきだった」という事故防止のための対策不備を指摘するよりも、なぜ事故発生前の状態で適切な判断ができなかったのか、なぜ事故発生の予見や認識ができない心理状態であったのかを明らかにすることの方がずっと大切なのです。
つまり「その状況において なぜその判断が合理的だと認識したのか」を分析することが大切だということです。
その意味で、特にヒューマンエラーに起因する事故が発生した場合には、以下の4つのポイントを踏まえて調査を行う必要があります。
1.調査目的を次のヒューマンエラー発生防止に限定すること |
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3.結果論として事故防止のために行うべきであったことを詳細に指摘しないこと |
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4.事故当事者の意識やモラルに限定した追及をしないこと |
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特に、犯人探しをしないことは真の事故原因を把握する上で大切なことです。
航空業界の事故やインシデントの調査では、十分注意しつつ避けられなかったと判断されるヒューマンエラーについては懲戒の対象としないというポリシーがある航空会社もあります。
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